Spainfan



悪魔の水道橋

 セゴビアの街が、ローマ人の支配に入ったのは、他のスペインの都市に比べると、比較的遅い紀元前80年位とされていますが、
この街に到着して、最初に目に付くのが、巨大なローマの水道橋でありましょう。 全長728m、高さ最後部で29m、2段になった
119ものア―チには、驚嘆のため息がでます。 
セゴビアの旧市街は、小高い丘に作られていて、グアダラマ(Guadarrama)山脈のある南側は、えぐられた谷状になっていて、ここに
水を渡す為にかけた橋なのですが、「水だけの為に、このような巨大な建造物を、、」と思わずには居られません。 勿論、逆に言ったら
如何に水が大切なものかの象徴なのですね。

(画像クリックで拡大)



 北から南からの他民族である外敵の侵略に脅かされて来た人々にとって、生存の手段は、強いものの保護下で集団で守ることですから
村落は、便利さよりもこのような自然の要塞となる地を選んで造られるますが、反面、生活の必需性との兼ね合いで、このような驚異の
建造物が、生まれたわけです。
この水道橋を建造するには、数千名の奴隷を使い、数十年の年月を費やしたようですが、町に伝わる伝説によると、たった一夜で悪魔によって
造られたと、信じられています。

 ローマの支配も定着した頃、この町にセシリア(Cecilia)と言う美しい乙女が住んでおりました。
彼女は、町の有力者の邸宅の下女と使われていましたが、彼女にとっての苦しい日課は、毎朝、町の急坂を上り下りして、町を挟むような形で
流れる2つの川の1つエレスマ川から水を汲み運ぶことでした。



 毎晩、硬いベッドに体を横たえると、大きな美しい瞳に一杯の涙を浮かべながら、自分の不運を嘆いておりましたが、ある美しい満月の夜に、
月に向かって神を呪い、「この苦痛から逃れれるのなら魂を悪魔に売っても良い」とさえ、つぶやいた所、地獄耳の悪魔は、この言葉を聞き逃す
はずは無く、彼女の前に現れて、その美しさに驚きながら、彼女に言いました.
「美しくも、哀れな娘よ。 わしが、お前の苦痛を取り除いてあげよう。 但し、望みを果たしてあげた時には、交換にお前の魂をもらう事に成るぞ。
明日の朝、お前が目覚めた時には、溢れるような水がこの町を潤すことだろう。 その代わりお前は、明日の夜、同じ時間に、ここに来無ければ
成らない。分かったか」。恐ろしい形相に、すっかり怯えきったセシリアが、黙って頷いたとたんに、悪魔は消え去ってしまい、あたりは何事も無か
ったかのように、静まり返っていました。.
余りの出来事に、娘は、魔法が掛かったように歩き、どの道を通ったのも分からないうちに、家にたどり着き、そのまま、ぐっすり眠ってしまいました.

翌朝、外のざわめきに飛び出してみると、彼女がいつも汲んで来た水を流し込む家畜用の水のみ場には、どこからきたのか水が流れ込み、溢れて
いて、そこから流れでた水は、小川にさえなっておりました。驚いて、その水の流れを伝わっていくと、街のはずれの深い谷間に巨大な橋が掛かっ
ていて、水はそちらから流れて来ていたのでした. それを、見たと単に、セシリアは、昨夜の出来事を思い出し、自分のしたことの重大さ煮驚き、恐怖に
慄き、最近当方から来た修道僧に相談したところ、「あなたは、恐ろしい約束を悪魔としてしまった。 あなたの魂を救うには、この聖堂内に12ヶ月の
間篭り、神の慈悲にすがって、祈りをあげつづけるしか有りません。」娘は、修道僧の言うとおりに、一心に祈りつづけたお陰で救われ、そのまま修
道女として,生涯を神に仕えて過ごしたそうです.

恐ろしいのは,悪魔よりも,女心??悪魔までも裏切られ、だまされる???(^^;;
 






表紙へ