Spainfan

クラヴィホの戦い

その夜、ラミーロ T世は昼のイスラム教徒との戦いでの味方の敗走で、身も心もつかれきっていて、
近習のもの達は主人の衰弱ぶりを心配していましたが、彼らには”我々には聖ヤコブ様がついている
ので何も心配は入らない”と笑ってみせたもののその疲労ぶりは隠す事は出来ませんでした。

床に就いてから、何時過ぎたのでしょうか。急に周りが明るくなったのでどうしたのだろうかと起きて
外に出てみると、見張りの兵士も誰も見わたらず、いぶかしながら進んでいくと一頭の白馬に跨った
騎士が馬上からこちらを見下ろしるでは有りませんか。その余りの神々しさに思わず膝まずくと、”わ
れはヤコブなり。全能の神は全てを知り汝の厚い信仰心を見逃す事は無い。汝が邪宗の者達を懲ら
しめ神の栄光をこの地に打ち立てることに力をかすだろう。明日の戦闘には我自らその道を切り開き
勝利の女神が微笑みを与えるだろう”と言うや消え去り、気が付くと一人で暗闇の中に立って居りま
した。床に戻った後も先ほどまでの疲労は嘘のように消え去りなんとも言えない爽やかな気分に成
りそのままぐっすり寝てしまったそうです。

翌朝に成って家来達は主人が昨夜とは打って変わって元気に成っているのに驚き自らも励まされる
のを感じました。日が昇り神への祈りをあげたあとラミロは昨夜の出来事を家臣達に伝えると一同す
っかり励まされ意気揚々と出陣したそうです。

Santiago Matamoros

壮絶な戦いが行われ兵士達は勇敢に戦いますが、数の上で圧倒的な敵に押され次第に劣勢にな
って来た時に突如砂埃の中から、昨夜と同じ白馬に跨た姿のヤコブが現われ ”悪に使えしものども
に天誅を与えよ!我が神に栄光あれ!”と叫ぶやイスラム教徒達の真ん中に飛び込み蹴散らし、
それを見た兵士達はすっかり元気付いて”聖ヤコブ様に続け!(Santiago!)と口口に叫びながら
突進し勝利を収めたそうです。

Matamoross(モーロ人殺し)の誕生です。聖人が騎士の格好で現れて敵を皆殺しにするとなんて
仏教では想像も出来ない事ですが、旧約聖書等に描かれる神様は慈悲深いどころか残酷な程色々
な試練を人類に与えて来ていますね。これも皆イブが悪い?(^^)

これが所謂”クラヴィホの戦い”(844年)と呼ばれるもので、聖ヤコブの墓発見の直後と言う事も有り
イスラム教徒に対する聖戦としての国土回復戦争(Reconquista)の進展と同時にサンチアゴへの
巡礼がヨーロッパ中から来る事に成ります。

SantiagoはSant Yago(Jacob)が一つの言葉になりカステリア語で聖ヤコブの事に成りますが、この
逸話からスペインの兵士達は”突撃”と言う意味で”サンチアゴ”叫んで突進したのだそうです。日本
の天草のきりしたん達も”さんちゃご”と叫んだそうですよ。なんか悲しい響きがしますね、、、

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