ハブーゴ(Jabugo)

セヴィリアからポルトガルの国境の町パロス・デ・ラ・フロンテラ(Palos de la Frontera)に抜けるアラセナ(Aracena)山脈の山道の途中
にハブゴと呼ばれる小さな村が有り、周辺はエンシナ(Encina)と呼ばれるかしわ樫の木や、コルク樫、ユーカリ等に覆われ、東のモレ
−ナ山脈(Sierra Morena)とは対称的に青々していますが、これは大西洋から来る湿気を帯びた空気を丁度この山脈で塞き止め雨を
降らせる為です。

スペイン人がこの名前を聞いたら、この山奥の素朴な村を思い浮かべる前によだれを垂らし始めるのに違い有りません。と言うのもこの村
一帯はスペインの中でも最上級の生ハムの産地となっているからです。


エンシナと黒豚

スペインの生ハムを一般的にハモン・セラーノ(jamon serrano)と呼びますが、名前のとうり山岳地帯では(serranoとは”山地の”と言う意味
です)スペインほぼ全土作られていますが、このハブーゴを筆頭にポルトガルとの国境に沿った山沿いの北はサラマンカ当たりまでのものを
ハモン・イベリコ(Iberico)と呼び高品質の製品が出来る為、一般のハモン・セラーノと別格扱いしています。

これは、材料のブタが色の黒いイベリア豚(cerdoiberico)を使うことから来ていますが、この為に又ハモン・イベリコを一般的にパタ・ネグ
ラ(patanegra)黒い足と言う意味)とか、ハモン・べジョタ(Bellota)とも呼んでいます。べジョタとはこの黒豚が常食としていて、その成長過
程に重要な役割を果たしている前述のかしわ樫の実のことです。良質なハムを造る為には、この黒豚と飼料としてのべジョタと産地の気候
風土が重要な役割を果たしているのは言う
までも有りません。


ハモン・セラーノ

ハムはその切る場所に依って成分が違うので当然味も違います。
上記の写真の一番膨らんだ上の部分をマサ(maza)と呼び脂肪分の多いところで、下部右側をコントラマサ(contramaza)と呼び脂肪は少
ない骨の付け根部分です。左側の細い所がプンタ(punta)と呼ばれ、取れる身は少ないのですが骨のエキスが出て一番美味で珍重されて
います。


保存は比較的乾燥した風通しが良い場所で、温度も暑からず寒からず一定の所が良いのだそうです。湿度の高い日本では冷蔵庫に入れる
しかないでしょうが、少なくとも食べる前には冷蔵庫から出しておいてハムの脂肪分が解けて所謂”ハムが汗をかく”状態にして食べましょう。
表面に光沢が無ければなりません。残った切り口には先に切り取った脂肪の固まりか、余り目の詰まっていない布で覆って置きましょう。賞
味の気温は15度から22度位が良いそうです。

ハモン・セラーのは1kg300pts位から有りますが、これはどちらかと言うと煮物用で、そのまま食べると生臭く塩気が強いので、美味しいとは
言えません。イベリコですと1kg.8千ptsから1万5千くらいに跳ね上がり、ハブーゴともなると1万8千以上になってきます。この値段の差が示
すように味もピンからきりまで有ります。、

上等のハムは器械でなく、手で刺し身包丁のような細身の長いナイフを使い、薄く透けて見えるくらいのスライスで、筋に沿って削ぎ取り様に
切ることが大切です。フィノ(Finoドライシェリー)片手にハブーゴをつまんだら、しばし地上に居るのを忘れるかも知れません。

次へ
表紙へ