Spainfan


聖ビセンテの奇跡(San Vicente)


 アビラ(Avila)と言えば、城壁の町として、知られているが、12世紀に造られたロマネスク期の重厚な城壁が、現在も完璧な
形で、その旧市街を包んでいる。街の出入り口は9箇所あるが、そのうちの最も背の高い北側に在る門は聖ビセンテの門と呼ば
れており、これは、近くの聖ビセンテ教会(Basi'lica de San Vicente)により、ここが、奇跡の現場である。 

(画像はクリックで拡大します)
アビラの城壁


  ローマ帝国の支配も晩期に入った4世紀始めごろ、アビラの街でも、 キリスト教徒への迫害は、激しく、様々な策謀がなされ
ていましたが、ビセンテ(Vicente ),クリステタ(Cristeta ),サビーナ(Sabina)と言う、信心深い3兄妹が居て、聖ヤコブの聖体
の一部が保存されている先祖伝来の銀の聖体入れ(Reliquia)を大切に礼拝しておりました。
ある日、エセキエール(Ecequier)と言うユダヤ人の金貸しが、それを見て、すっかり気に入り、彼らの、慎ましい生活ぶりを見て、
何とか買い取ろうと交渉しますが、親の形見であり、大切な信仰の対象である聖体入れを、売るわけには、行かないので、丁重に
断りました。エセキエールは、諦め切れずに、逆恨みして、「彼らのような貧しいものに、あんな財宝がある訳はない。あれは盗品
に違いない」と、日頃癒着の代官に訴えでた為、ろくな調べもせずに、彼らは、財産没収の上、斬首の刑に処せられてしましました.

聖ビセンテ教会


 エセキエールは、没収された聖体入れを、役人に賄賂を贈って、まんまと手に入れて、喜び勇んで家に持って帰り、取り出した
ところが、突然石ころに変わって仕舞いました.
一方、3人の屍は、野獣の餌にという事で、城壁の外に放置されておりましたが、屍は腐りもせず、又、その日から、一匹の大蛇が
現れて、遺体を守るかのように近づく野獣を追い払っておりました.

 エセキールは、腹いせに聖体であった石ころを持っていって、悪態をつきながら、大蛇に投げつけたが、、大蛇は彼に巻きつき、
締め付けたので、彼は、余りの苦しみのなかで、自分の罪を悔いた所、大蛇は「ここに、聖堂を造り、ビセンテ兄妹を奉るように」と
言い残して、消えて仕舞いました.

 エセキエールとこの奇跡を目撃した代官は、すっかり驚きキリスト教徒に改宗して、大蛇の言いつけ通りに、自分らの全財産を
投げ出して、聖堂を建設して、3人の屍を丁重に葬りました.

大抵、蛇は悪役ですが、この物語では、蛇が善玉として、現れるのが面白いですね. 現存の城壁が作られた、12世紀に成ると、これ
に関連した別の奇跡が起こります。


 

南門のタンパン彫刻



 時は立ち、12世紀の終わりごろ、アビラ生まれの修道僧で聖ペドロ・デル・バルコ(San Pedro delBarco) と言う聖人が居りま
したが、彼は、生前から色々の奇跡を起こすほどの聖人で、住民から深い信仰を受けていました.
彼が死んだ後、ご利益を目指して、その有難い屍をどこに葬るかで、二手に分かれて争いが起きてしまいました.。そこで、後任の修道
士が仲介の入って、「聖ペドロ様の屍を、この盲目のラバの背中に乗せ日没時に、たどり着いた所に埋葬ッしましょう」と提案して、その
ようにしたところラバは勝手に歩き出し、すっかり崩れかけた前述の聖ビセンテの聖堂内に入っていき、聖堂内の1枚の敷石の上に蹄の跡を
刻んだと思うと息絶えてしまったそうです。ラバの跡を追ってきた住民達は、荒れ果てた聖堂にを見て、心をあらため聖ペドロとをここに葬る
と同時に現存のバシリカ様式の教会を再建したのだそうです。

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